真空成形は、熱可塑性のプラスチックシートを加熱し、軟化させ、シートを成形型に密着させて離型し、成形品を製作する技術になります。また、素材と型を真空状態まで吸着させるので、型と素材がしっかりと密着し複雑形状の成形品を製作することが大きな特徴といえます。
このように便利な真空成形ですが、素材と型を吸着し、密着させるため、離型時に適正な抜き勾配を取らなければ、製品の不良に繋がってしまいます。
そこで、当記事では真空成形の離型において抜き勾配をどのように設定し、設計すべきか、ポイントを詳しく紹介しています。是非、最後までご確認頂き、設計時の参考として、ご活用ください。
真空成形において抜き勾配を付ける理由
真空成形を設計する際に抜き勾配は、1,2度つける必要があります。
その理由は、冷却時の成形品の収縮と大気圧による型の締め付けが挙げられます。
下記にて真空成形において抜き勾配をなぜつけるか紹介いたします。
①冷却時に成形品が収縮する
真空成形の離型は、シートを加熱し軟化させています。その後、冷却させて固化させた状態で離型します。なお、この冷却方法ですが、通常は冷却ファンを用いますがそれに加えて型内部に温度調整用のパイプを設置します。そうすることによって、型内の温度が上昇しすぎるのを押さえることが可能になります。この冷却工程ですが、樹脂が固化する際に収縮するため型を締め付けてしまいます。そのため離型が、非常に困難になります。その対策として、抜き勾配をつける必要があります。
②大気圧により型が締め付けられる
真空成形は、製品と型が真空状態で密着しています。そのため、離型時に抜き勾配が無いと大気圧に押し付けられ、型が締め付けられてしまいます。そうなると、離型が難しくなるため一般的には、1,2度の抜き勾配を付けます。抜き勾配をつけることにより、空気の出口ができて綺麗に離型することができます。
このように、真空成形品において抜き勾配をつけることが大切になってきます。
ただ、成形品の構造上抜き勾配を付けたくない箇所も出てきます。
そのような場合、どういった対策を行うのか下記にてご紹介いたします。
真空成形の設計で対策が必要な形
真空成形は、型の抜き方や抜き勾配の関係から通常の成形方法では成形できない形があります。そのような、製品でも対応が可能になります。
①構造上、抜き勾配をゼロにしたい
真空成形は、通常は1°程度の抜き勾配が無いと成形型から抜けませんので、抜き勾配をつけるよう設計が行われます。しかし、他部品との勘合部などどうしてもゼロ勾配が必要なケースもあります。
そんな時は、勘合部のみストレート(ゼロ勾配)にし、他の部分は抜き勾配を付けるという設計を行います。どの範囲までストレートが可能なのかはサイズ・形状などにより数値で表せないので、図面を頂ければ、それが実現可能か検討し回答することが可能です。
②逆テーパー形状の場合
真空成形は、真下に型を引き抜きます。そのため、離型時に平行四辺形の場合は型と成形品が接触し、通常は抜けません。対策として、離型時にクランプをはずします。そうすると、綺麗に型から成形品が滑り落ちるので対応が可能になります。その際も、左右の壁同士でできる抜き勾配が、1,2度必要になります。
上記2点のようなケースでも、当社は対応可能ですので是非ご相談ください。
真空成形なら当社にお任せください
最後まで、お読みいただきありがとうございます。真空成形の試作工程の型や注意点に関して詳しく纏めてみましたが如何でしたでしょうか?
真空成形についてご質問やご相談ございましたら、是非プラスチック真空成形.comを運営する㈱松井製作所までお気軽にご相談ください。