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成形マイスターのブログ

真空成形で扱う樹脂材料の特性と最適な選定方法

真空成形は、樹脂を加熱して型に密着させ、引き伸ばして成形する加工方法です。この加工方法の特性から、成形上よく伸びる熱可塑性樹脂が素材として使用されます。また、真空成形に特化した材質等も多数開発されています。例えば、展延性が高い塩ビであるカイダック等が挙げられます。高品質な真空成形品を製作するためには、この材質の選定が非常に重要となります。そのため、真空成形に使用できる樹脂やその特性をしっかりと押さえる必要があります。そこで、当記事では真空成形に用いられる各材質の特性を詳しくご紹介します。是非、最後までご確認頂き、実際の材質選定の際の参考として、ご活用ください。

>>真空成形を成功させるポイントまとめ

 

Ⅰ 耐熱性に優れた PET

PETとは、PET-G(非晶性ポリエステル系プラスチック)になります。成形倍率が高く、よく伸びるPETは、耐熱性・耐寒性・耐摩擦性・耐衝撃性に優れているため、物流業界で多く採用されています。その中でも、耐摩擦性の観点から物流の梱包容器によく使用されます。 その他にも、透明性、二次加工性、環境性にも優れています。

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Ⅱ 成形性が高い ABS

ABSとは、耐衝撃性・成形性に優れています。難点としては、紫外線の影響を強く受けるため、屋外使用には適しておりません。そのため、屋外で使用する成形品には、ABSの耐候性グレードを採用することをおすすめしています。良い点としては、成形性が非常に高く、真空成形のみならず様々な成形方法に適用できます。また、産業機械、自動車、医療機器など多様な業界に採用されています。特に、成形性の高さと、耐衝撃性の観点から自動車業界の成形実績が多数あります。

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Ⅲ 透明度が高い PC

PC(ポリカーボネート)とは、耐衝撃性・高い透明性に優れています。また耐候性・耐熱性も高いため、屋根材や窓等にも使用されます。 PCは成形可能な温度域が小さく真空成形・圧空成形が可能な他の樹脂と比べて成形が難しい材質になります。 また透明な材料は温度調整や加熱時間を間違えると透明性が損なわれ曇ったような状態になります。そのため透明性を保ったまま形状・寸法を出すには経験とノウハウが必要になります。 当社では10mm厚のPCを形状と透明性を両立して成形した実績があります。

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Ⅳ 耐候性にも優れた PMMA

PMMA(アクリル)とは、シボ・色・耐衝撃・耐候性・耐擦傷・難燃・ノングレア・近赤外線透過などの優れた特性があります。 特に、自動車業界で使用されています。弊社では、透明性があり、表面硬度が高く成形性にも優れ、 耐候性があるため、車両窓の加工を行った実績があります。この車両窓ですが、PMMAで製作することによって、従来のガラスよりも軽量化とコストダウンを実現できました。

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Ⅴ 衝撃に強い PVC

PVC(塩ビ)とは、耐熱性・耐衝撃性のほか、電磁波シールド、レーザー遮蔽に優れています。また、真空成形用に加工されたPVCであるカイダックという素材があり、耐熱、耐候性、高い透明度、一般グレード、静電電磁波シールドといった特性を備えています。基本的に熱可塑性樹脂だが、カイダックと普通の塩ビは、成形倍率が高くよく伸びます。一般的に、医療業界で使用されています。弊社では、医療機器カバーの加工実績が多いです。医療機器は、高額なため衝撃による破損、誤作動を防止するために、耐衝撃性や医療現場では、レーザーが機器に接触する場面もあるため、レーザー遮蔽を付与できるPVCが医療機器カバーに採用されています。

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Ⅵ 軽量化に最適な PP

PP(ポリプロピレン)とは、耐熱性・耐寒性・耐衝撃性に優れています。難点として、精度が高い製品の成形には向かない素材になります。良い点としては、比重は0.91と非常に軽くいため軽量化したい製品に向いています。また、軽いので、食品業界のトレーに多く採用されています。その理由として、水に浮く軽さや、耐熱性の観点で、電子レンジを使用した際の熱変形がしづらく、食品トレーに向いていると言えます。

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Ⅶ 耐水性に優れた PS(ポリスチレン)

PS(ポリスチレン)とは、耐水性・電気絶縁性に優れています。また、発色が良く着色がしやすいため、清潔感や意匠性が求められる浴槽カバーに使用されています。その他にも、成形性が高く、射出成形、圧空成形、ブロー成型、発泡成形など様々な成形方法で使用されています。また、衝撃が加わりやすい製品に関して、PSにゴムを配合したHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)といって、一般的なPSから大幅に耐衝撃性を上げたPSも存在しております。

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Ⅸ 耐候性に優れた AES

AESとは、耐衝撃性・耐熱性に優れています。ABSとほぼ同様の素材になりますが、ABSの欠点である耐候性を付与するため開発されたのがAESになります。そのため、屋外用の製品に使用され、ABSの基本特性を維持しつつ、紫外線に強い素材になります。よって、衝撃にも強く屋外使用に最適な樹脂となっています。ただし、材料単価がABSに比べて高くなりますので、弊社では、屋外で使用されない製品に関しては、基本的にABSを提案しております。

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Ⅹ 衝撃に強い ラミスタック(MMA+ABS)

ラミスタックとは昭和電工㈱より販売されているシート材です。多層構造になっており、耐衝撃性に優れたABS樹脂をベースとして、表面はアクリル層(MMA)になっており耐候性・耐衝撃性に優れています。加飾では、見た目がめっき調になっているのが特徴で、塗装レスによるコスト面でも優れた材質です。また、複合多層材料を使用することによって、成形時に加飾ができますので、二次加飾の不要により塗装レスによるコストダウンを実現することが可能です。

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Ⅺ 複合多層樹脂

複合多層樹脂とは、硬質、軟質、不織布、発泡シートなど異なる性質の材料を掛け合わせた材料になります。真空成形が複合多層樹脂を使用できる理由として、材料が液体では無く個体なので、層状に異なる材料を組み合わせることができるからです。そのため、先ほどの材料の良いとこどりが可能になります。下記で、複合多層樹脂を紹介いたします。

 

①意匠性に優れた PMMA+ABS

PMMA+ABSは、家電、自動車、などの衝撃性の強さと意匠性が求められる外観部品によく採用されています。PMMAの特性で、高い表面硬度・高い透明性に優れます。また、ABSの特性で、高い成形性・傷がつきにくい点に優れます。また、ABSは、耐候性が無いですが、PMMAを組み合わせることによって耐候性が付与でき屋外で使用できる製品にも採用が可能です。

 

②保水性に優れた 不織布+熱可塑性樹脂

不織布+熱可塑性樹脂とは、外側が樹脂、内側が不織布というような構造になっています。例えば、自動車のワイパーに採用されています。ワイパーは、外側が樹脂で内側が不織布になっております。そのため、樹脂には耐候性・軽量な樹脂を採用して、不織布には高い保水性・耐溶剤性が付与できます。このように、樹脂以外の素材も使用できる場合もあります。

 

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最後まで、お読みいただきありがとうございます。真空成形で扱う樹脂材料の特性から選定方法について詳しく纏めてみましたがいかがでしょうか?真空成形の樹脂は、多数存在しているため、1番最適な樹脂を選定したい方は、是非プラスチック真空成形 .comを運営する㈱松井製作所までお気軽にご相談ください。

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